導入事例

中国の世界遺産を守るレーザースキャニング(前編)

中国の世界遺産を守るレーザースキャニング(前編)

case024_01.jpg近年、非接触型のレーザースキャニングが、測量調査の業務領域を拡大させています。
3次元情報収集のスピーディーさに加え、正確さ、詳細さがその理由といわれていますが、とりわけ測定対象の表面を人の手やプリズム・ポールで触れること無く測定できるという点が最大の特長といえます。
アメリカ、イリノイ州シカゴを拠点とするエンジニアリング・調査会社のダイナスティ・グループもまた、3Dレーザースキャナーを最大限に活用している企業です。
2001年、歴史的に重要なWacker Driveの石面改修調査に利用したのは、FARO® Laser Scannerでした。

同社代表Zhong Chen氏は、当時のことを以下のように振り返ります。
「私たちがシカゴ市から引き受けた業務は、取り壊しの前に石面を3Dドキュメント化することでした。対象となるのは数千もの石ブロックで構成されたセクション。この全てを元通りに復元することが、私たちに課せられた使命なのでした。」

同社はわずか2週間で全てのデータを収集し、2~3カ月で復元に必要なモデル作成を行いました。
このプロジェクトで歴史的資産を3Dドキュメント化する重要性を認識し、以来、レーザースキャナーを使用し続けています。このことは、同社の新しい業務分野へと発展したのです。
2004年に進出した中国では、レーザースキャニングがもたらす数多くの優位性を具現化するものとなりました。

河北省滄州市の「鉄のライオン」

case024_02.jpg953年に鋳造された河北省滄州市の「鉄のライオン」は、中国に残る最古にして最大の鋳鉄造形物です。高さ約5.8m、長さ6.4m、幅3.4mのライオンは、1603年に尻尾を失い、1886年の嵐で倒壊、1984年の改修工事でひび割れるといった苦難の歴史を歩んできました。そのため空洞のライオンは、パイプの足組で支えられる姿となってしまいます。

国立文化財保存団体は、この歴史的な建造物を修復するため、Finite Element Analysisのためのモデル化をダイナスティ・グループに依頼しました。
このような巨大のオブジェクト化は未知の取り組みであり、Chen氏は以下のように語ります。
「FEAに適した高解像度モデルをフェーズ・ベースで行う必要がありましたので、私たちは高速で高性能な3Dレーザースキャナーを使用し、近距離から25回スキャニングを行いました。各スキャンニングに約7分かかりますが、1ミリ間隔で計測し、2mmの精度を達成しました。」
その所要時間はわずか7分。鋳鉄表面にターゲット設置するのを避け、ライオン周辺と内部にコントロールポイントを設定しました。
「ターゲットを設定した後は、トータルステーションで収集したデータを検証していきます。ひとつのスペース内に正確なポイントが4つ以上あれば、3次元スキャンされた情報と比較することができます。これが許容範囲内であれば有効と見なします。」


case024_03.jpgさらにChen氏は続けます。
銀のライオンに触れること無く、周囲や内部からスキャンする作業は困難を極めました。
「ライオン上部をスキャンするには足場を組むことが不可欠なのですが、足組の上からスキャンすることは難しい上、確認後、幾度もスキャンのやり直しを行うことがつきものです。2回スキャンを行い良い方を選択する、という手法もしばしば選択しました。」
こうした悪条件のなか、作業チームはロープとアンカーで固定した1.5mの専用プラットフォームにスキャナーを取り付け、ライオンの狭い内部をスキャンしました。
努力の甲斐あって、ライオンの表面に一切触れること無く、全てのスキャンが完了しました。

LS880は同じ焦点でカメラを取り付けることも可能ですが、このプロジェクトでそれは使用されませんでした。
「私たちの業務範囲である構造的分析の結果を見て、クライアントはレーザースキャナーを大変気に入ったようです。そして、次の業務『表面腐食の3Dドキュメント化』に関して折衝を行っているところです。」
各スキャン・セットアップで取得された約500メガバイトのデータは、合計13ギガバイトにおよびます。これだけの巨大なデータにもかかわらず、現場で費やした時間はわずか3日。その後オフィスに戻り、FAROのソフトウェアにより点群を保存し、InnovMetric社のPolyWorks形式にエクスポートします。


case024_04.jpg国立文化財保存団体が同社の仕事に満足だった様子を、Chen氏は以下のように振り返ります。
「前例がほとんど無いFEA用のスキャンデータ利用において、私たちはライオンのデータをいち早く完了させ、モデル全体の分析フェーズにまで到達することができました。分析が完了すれば、現在のパイプで組まれたライオンの足組を、最小限で効率的な支柱に代えることができます。結果次第では、欠落した部分を復元できるかもしれません。」

ダイナスティ・グループがこのような仕事を数多く獲得できた背景には、中国においてスキャナーを使用した実績が広く知られていることが挙げられます。美術の学位を持つ人材を採用するなどし、中国史や考古学分野の人脈を開拓してきたことも大きな要因といえるでしょう。
そして、今回のプロジェクトでの功績は、次のプロジェクトをもたらしています。
かつてライオンを損傷しつづけた過去の復元作業とは違い、同社の仕事はライオンに一切触れること無く作業したのですから。

――後編へ続く

この事例で使用されている3次元測定器は、FARO社製3Dレーザースキャナーです。

FARO社ホームページで「FARO Laser Scanner」の最新モデルを見る

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