導入事例

中国の世界遺産を守るレーザースキャニング(後編)

中国の世界遺産を守るレーザースキャニング(後編)

――前編からの続き

敦煌莫高窟


case024_05.jpg甘粛省の丘陵に所在する敦煌莫高窟は、1987年にUNESCO世界遺産に登録されました。
またの名を「千仏洞」と呼ばれるように、数百以上の洞窟から成り立ち、西暦366年から彫り始められたといわれます。
壁画には仏教史のなかで重要な局面が描かれていて、難解な描写や彫塑も特徴的です。
洞窟の中には延べ45150㎡の壁画、約2100体の有色彫像が残されていて、高さ15mにもおよぶ彫像もあります。

極めて精巧な洞窟の多くは、しっくいのような泥土をかたどられ作られています。
そこに今も驚くような明彩な壁画が描かれているのですが、色あせの恐れがあるため、強い光を当てるフラッシュ撮影ができません。
このような条件のため、敦煌莫高窟の3Dドキュメント化もまた困難な作業となります。
座標システムを用いた測定は、トータルステーションに沿ってワイヤー・グリッド・システムを使用するのが通常の手法ですが、これには時間とコストがかかります。一つの洞窟の3Dドキュメント化に3人で1年近くかかってしまうこともあるうえ、満足のいく精度が確保できないという問題も頭を悩ますところです。


case024_06.jpgこのサイトの読者なら、「敦煌の学会がレーザースキャニングに必ず興味を持つ」と思うでしょうが、ことはそう簡単にいかなかったと、Chen氏は振り返ります。
「考古学レポートのサポートを得て、私たちの手法が最適だということは明らかでした。しかし残念なことに、それより以前の早い段階で、他企業がレーザースキャニングにトライし、失敗していたのでした。私たちの手法に学会の合意を得るため、2回のプレゼンテーションといくらかの時間を費やすことになりました。」

結果的に学会は、最古となる1600年前に作られた4つの洞窟のスキャンに合意しました。
精巧な彫刻が対象となるため、選択されたのはFARO LS 880。ショット間隔と解像度は、鉄のライオン調査時と同様のものが選ばれました。

コントロール・セットアップは比較的シンプルだったと、Chen氏はいいます。
「まずベースラインをセットし、それに沿って動作を行います。壁面に触れることもターゲットを吊るすこともできないため、スキャンデータを登録するためには、絵画の角部を見極める必要があります。その数は数百にもおよぶため、混乱が生じる危険性があるのです。」
このため、まずトータルステーション・レーザードットを使用し、ターゲットの角部を取り出します。次に薄暗いなかでデジタル写真を撮り、登録ポイントを確認するという手順を取りました。
足場の使用は1度だけ。大部分の壁面が朝浮き彫りのため、ほぼ全てのセクションはいくつもの角度からスキャンされました。


case024_07.jpg近年、この洞窟に立ち入った者は少なく、貴重で興味深い体験だったと、Chen氏は振り返ります。
「洞窟の中は、彫像と精巧・繊細な彫刻で溢れていました。仏教の長い歴史の中で、時代によって異なる宗教的芳香や芸術スタイルを伝えてくれるこれらを見るのは、とても魅惑的なことでした。」


最新技術が新しい業務を生み出す


case024_08.jpgダイナスティ・グループの仕事、特にスキャンスピードに関して、学会はとても満足しました。半年・1年という今までの時間軸ではなく、ひとつの洞窟を3Dドキュメント化するまでに要する時間は、なんと1日。
「このことはコスト削減のみならず、洞窟の保存に貢献します。人間が吐き出す息(二酸化炭素)でさえも、洞窟を損傷するのですから、洞窟内での作業時間を削減することは大きな意味を持つのです。」と、Chen氏はいいます。

データ収集とスキャンデータの保存はFAROソフトウェアで行われ、Bentley Cloudworksも使用されました。
ダイナスティ・グループのスタッフは学芸員たちと、2カ月費やしAutoCADへモデルをインポートし、処理加工作業を説明しました。このことは、同社スタッフ自身にとっても貴重な学習の機会になったといいます。
「学芸員たちは、芸術的観点からモデルをよりリアルに見せる術を教えてくれました。」

学会はスキャンデータに関して、さらなる展望を望んでいます。
まずはレポートの作成や3Dドキュメント化を終わらせます。将来的に劇場で洞窟のバーチャル・リアリティを実現し、海外でも紹介したいと考えています。
最先端技術は、古代の貴重な空間を保存するのみならず、「共有」する次のステップに向かうのでしょう。

シカゴで開発された手法を中国で利用することは、比較的容易だとChen氏は予想していました。
鉄のライオンに関しては、同団体の業務を過去に手がけた実績や、周到な人脈作りが受託へと繋がりました。
敦煌莫高窟の場合は、学会にアプローチしトライアル・プロジェクトを行うことで学会を教育し、双方に自信が持てるようになったことが功を奏したのです。

有効なマーケティングと同時に、最新技術に精通することが重要となります。
最新調査技法と、根気強く腕のいいマーケティング専門職の合わせ技によって、ダイナスティ・グループは新しい領域への展開を可能にしているのです。

この事例で使用されている3次元測定器は、FARO社製3Dレーザースキャナーです。

FARO社ホームページで「FARO Laser Scanner」の最新モデルを見る

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